Vacantly - ぼんやりと、ぽかんと

目まぐるしく過ぎていく日々の中で、たまには立ち止まりたくなる日もある。
現実問題、それが実現されることはないのだけれど、気づけば気持ちだけが立ち止まって、周りをぼんやりと見渡している自分が居たりする。

何に不満があるってわけじゃない。
忙しいことは幸せだし、何より仕事は楽しい。
それでも自然と足が止まってしまうのは、埋められない何かを探しているからなのかもしれない。


「疲れた顔してんな」


頭上から降ってきた声に顔を上げると、相手が見える前に無骨な手が頭の上に乗せられた。
そのままぐりぐりと頭を撫でられる。
なんとなくされるがままにしていたら、苦笑した相手が今度は額をぱちんと叩いてきた。
・・・って、痛いねんけど。


「何すんねん」
「ありえんくらいぼけっとしてるから、生きてんのか心配になったわ」


悪びれた風も無く、彼はあっさりとそう言って隣に座り込む。
確かにぼけっとはしていたけれども、そんな心配をされるほど酷い顔をしていたのだろうか、自分は。
無言になった相手をちろりと横目で盗み見ると、相変わらずな涼しい顔がそこにある。
・・・何故だかは分からないけれど。
ただそれだけの事で、不思議なくらいに安心した。

多くは語らない自分たちだけれど。
気持ちは多分、繋がっている。
自分にとっての安心感は、もしかしたら彼が生み出してくれているのかもしれない。
ふいに、そんなことを思った。


「・・・生きてるよ、ちゃんと」


自らその言葉をかみ締めるように、声に、言葉にする。
その途端、世界の輪郭が急にはっきりと見えた。


「ならえぇわ」


薄く笑って返された声の、温かすぎるほどの温度に瞬く一瞬。
世界は、極彩色に染まった。






 END.


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Vacantlyが全然主題に来てませんよ光騎さん。(爆)
Vお題と括っているのにも拘らず多分関西坊や二人がイメージされているんだと。(笑)
やー久しぶりに文章書いたなー

 2008.01.29.Tuesday
 Kohki Tohdoh Presents.
template : A Moveable Feast